加工用原紙に求められる品質の中で、最初に期待される数値は、加工方向流れに対する引張強さです。これは加工原紙の宿命であり、当たり前に求められる数値です。各製紙会社はこの数値に苦しめられ、対応して来た歴史があります。原紙は、印刷、小巻、スリッター、貼り合せ、塗布、などだいたい「次加工」があるので、ほとんどの紙が強度との戦いを繰り返し、今に至っていると言っても過言ではありません。

そうした加工原紙の事を知っているので、兎屋を始めた頃、紙バンド用の専用原紙が無い事が不満で、今もその状態はほとんど変わっていません。兎屋を始めた2002年頃は紙バンド手芸を知る人は少なく、特にカラー原紙※1については愛媛県の2社の製紙会社だけしか作っておらず、紙バンドにも使える紙という事で、本来はテープ用原紙だった紙が流用されていました。しかも静岡県の紙バンド加工会社では問題なく使用されています。

※1:因みにクラフト紙バンドに使用するクラフト紙は静岡県の製紙会社1社がほぼ独占で紙を抄いています。なので価格も強気です。古紙がいくらかは入ってはいますが混入率は公開されていません。紙の品質は良いです。兎屋もくらふと紙バンドについては静岡県産原紙を使わせて貰っています。

ところが、兎屋の場合はちょっと事情が違っていて、委託先の紙バンド用糸撚り機の形式が、静岡県で多用されているのとは違い、加工スピードが速い為に糸に掛かる力も強く、愛媛県の紙では「切れる」事が多かったのです。そしてそのことを製紙会社に訴えても「・・・・静岡では使えるんですよねぇ・・・・」の返事でした。

しかし、2008年移住先の高知県で「奇跡の製紙会社」との出会いが有り、その状況が一変したのです。これは抄紙機の個々の性質の話で、人間で言う所の個性の話です。抄紙機のパターンは愛媛県の2社と同じですけど、その個性が紙バンド用原紙の抄造に適していたのです。

しかもこの会社を経営している土佐のいごうっそう兄弟の個性も、これまた良く、私が(兎屋が)しつこく紙の品質を責めても嫌な顔一つせず、喰らいついて来るのです。こんな製紙会社見た事なかったので、思いっきりわがままを言いながら、今の紙品質にたどり着いています。そしてこの高知県産原紙が、例の高速で力の掛かる糸撚り機に耐えられるのです。これがちゃんとした!紙バンド用カラー原紙の誕生なのです。・・・・・流用紙は嫌でした・・・・・

当然、引張強度だけではなく、紙バンド用として求められる品質についても様々な面で対応してくれますし、兎屋高知出張時の飲み会対策もしっかり対応してくれます(笑)