伝統の和紙定義は複雑です。明治に入り流通し始めた外国産の紙、あるいは外国製抄紙マシンで抄いた機械抄きの紙を「洋紙」と呼ぶ一方、区別の為に従来の国産手漉き紙を「和紙」としたのが始まりとされています。「和紙」の定義が複雑?あるいは定義は無い!とされている原因はこれです。でも、多くの方のイメージは「①日本自生の和紙原料植物を使用した日本産伝統手漉き紙」かな?ほとんどの方がこれ、でも実際にはそうじゃない「ワシ」?が多く

「②輸入原料植物を使用した日本産伝統手漉き紙」「③現地原料植物を使用し外国で作るその国の伝統手漉き紙」「④現地原料植物を使用し外国で作るその国の伝統じゃない手漉き紙」「⑤日本産手漉き風機械抄き紙」といろいろです。

現代日本で伝統和紙産地が減っている一方で、和紙人気は高く、結局和紙なのかどうか?わからない「ワシ」が和紙として流通しているのが現状です。因みに韓国の伝統手漉き紙は「韓紙/ハンジ」と呼ばれています。その流れで見ると、最近流通量が多いフィリピン産の手漉きワシ?の事を私はひそかに「比紙」と思っています。インド産なら「印紙」かな?どっちにしても「和紙」は厳しいのです。

じゃあ機械抄きはどうなのか?兎屋フェイスブックでは「 #38 紙バンドの紙は機械抄き和紙? ①」「 #39 紙バンドの紙は機械抄き和紙? ②」でその辺りの事を書いていますが、実は私は小規模製紙会社の小規模な抄紙マシンが好きです。

伝統手漉き和紙の流れで話をすると、機械抄きの和紙や紙加工に供する機能紙は一段低く見られがちですが、厳しい紙業界で生き延びている小規模製紙会社は残って来ただけの「モノ」を持っていて、その有形無形の「モノ」に触れた時、私はキセキ!と思うのです。

要は、手漉きや機械抄きの区別ではなく、消えた和紙産地や製紙会社のグループと、今も生き残りを掛けて戦う和紙産地や製紙会社のグループの二つがあるのです。

和紙の定義?を原料産地や、産地国で区別する事は簡単で、私の書いているような和紙区別はネットにも出ています。でも、手漉き・機械抄きに関わらず、向き合って工夫し続ける人達の事は表に出て来ません。特に小規模製紙会社の事は、紙業界の方でさえ知らない方がほとんどです。

実は「兎屋コレクションカラー」の原紙は高知県の小さな製紙会社で抄いて貰っています。出会いは2008年の事で場面は今でも鮮明に覚えています。いい感じの「モノ」を持っている40代(当時)の兄弟が二人で頑張っていました。その帰りに思ったのです(あれっ 奇跡の製紙会社だ!)

今まで兎屋では高知県の紙を使っているという事をあまり言いませんでした。理由は強靭な紙を使う事で、兎屋コレクションカラーの品質を上げる事に注力していたからです。そして今年2016年になって品質の安定が出来るようになりました。

品質向上の為に全社一丸となって取り組んで下さった愛媛県の紙加工会社さんの努力も大きいのですが、厳しい加工条件に耐えられる強靭な紙を抄いて貰える高知県の製紙会社にも感謝をしています。その製紙会社の前身は手漉き和紙の加工場だったそうです。今では機械で紙を抄いているけれど、「いごっそう」な土佐人気質は残っているという事で、これも伝統です。