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陸軍特別攻撃隊:高木俊朗著

この本(文春文庫 当時540円)を手に入れたのは

昭和61年暮れか62年頃(1986~87年)文庫本としての第一刷が1986年8月25日となっているので、発売されて間もない頃です。当時年齢は27歳、まだ独身で中央区京橋の小さな紙の代理店に勤め、社員寮として住んでいた江戸川区のマンションから地下鉄東西線の西葛西駅を利用して京橋まで通っていました。


昭和57年に社会人となってからは読書量が増え、通勤時間やお客さんへ訪問する電車内で読みふけっていました。いわゆる乱読です。もちろん書店にもよく行き、目にした「陸軍特別攻撃隊」の題名と表紙に描かれた軍用機の勇ましい雰囲気に誘われて1~3巻まとめて購入しました。

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勇ましげな戦闘機や爆撃機の表紙絵ですが、読み進むに従い残酷絵に見えて来ました。
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知らなかった事が詳しく書かれていて「目から鱗が落ちる」を初めて実感したのがこの本でした。


本の内容は「特別攻撃隊に参加させられた人々の苦悩と恐怖、送り出した側の不徳と無責任、残された家族の終わり無き不幸」を詳しく、詳しく、詳しく、これでもか・・・・と書き連ねています。ここで個人名は出しませんが(本には書かれています)読んでいて悲しくなると同時に、怒りが込み上げたものでした。読後「陸軍特別攻撃隊」の本はいつも私の本棚にあり、一人の軍司令官の名前が私の頭に刻み込まれていました。

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1巻表紙絵:九九式双発軽爆撃機の機首には機体内爆弾を爆発させる起爆管が伸びています。これは通常爆弾の信管にあたるもので飛行機自体が爆弾になっていると言う事です。
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文庫本全3巻は読み応え有りです。しかもそのどこをとっても苦悩と無責任と不幸の連続で、資料に基づいた記述が延々続いています。


27歳頃に読んだ本ですが、いつの日かもう一度読もうと思っていて、この春頃からまた少しづつ読み始めました。実に22年振り(現在49歳)です。若い頃に読んだ本をもう一度読み、当時思った感想と比べて見たいという興味も有りました。そして読後感想は・・・・27歳の頃と同じく「怒り」でした。

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2巻表紙絵:百式重爆撃機の機種にも起爆管が装着されています。大型爆弾を2個搭載し、重量軽減の為に防御用機銃を外された裸の機体で飛び立ち亡くなった方の無念が偲ばれます。
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著者が書こうとした事は、決して1944~45年の話では無く、「同じような社会構造や考え方が今も続いているぞ」という警鐘でも有ります。


徳義を説き、続くと言って数多くの人達を特攻に追いやった人達は、戦後も生き延び寿命を全うしたようです。特攻で子供や夫や父を亡くした母親や妻や残された子供達は戦後「特攻隊の家族」と言う事で差別を受け、精神的にも経済的にも苦労したようです。このような不幸は戦争の本質で国の内外を問いません。しかし争いは今も世界中で続き、毎日不幸な家族や子供達が生まれています。著者の高木俊朗さんは他にも沢山の戦争検証を小説にし、事実に基づいて丁寧な書き方で著わしています。題材柄、難しい言葉も多い本ですが、ぜひ読んで頂きたいと思っています。

— posted by 兎 at 11:23 am   commentComment [2] 

この記事に対するコメント・トラックバック [2件]

Up1. まさたか — 2010/01/09@21:05:30

巷では忘れ去られている特攻の真実が、この本には記されていると思います。
私も発刊当時買い求め、何度も読み直しました。
昨年末で、フィリピンの特攻作戦から65年が経過し、生存する体験者も、おそらく稀有でしょう。
著者の高木俊朗氏は、痛烈な戦争批判の立場から、これを書いたと思いますが、肯定する立場あれば、隠したり、改ざんされたであろう表記が、至る所にみられるのも、また真実を伝えたい氏の心情が伺えます。
戦争当時も、現在も、体制側の人間は無責任極まりないことを実感できる貴重な書籍で、絶版は残念な限りです。

Owner Comment 兎  2010/01/10@11:34:58

コメントありがとうございます。
本の気持ちは戦争に対する否定ですね。戦争が始ると参加させられる兵士や家族、戦場の民にとってこれほど不幸な事は無いという事です。高木氏はその不幸を丁寧に描きだす事を行い、その真摯な作業が心を打つのです。

世界中には戦争の実態を著わす本がたくさんあり、どれをとっても、結論は不幸となっています。そして結局泣くのは私達のような一般庶民だと(いつも)思っています。

日本人も韓国人も中国人も東南アジアの人達も、更にはアメリカ人もイギリス人も・・・・・皆戦争は嫌なのに、なぜ戦争は無くならないのか?昨今はテロの脅威と言われますけど、なぜテロが発生するのか?と考えていると無力を感じます。

良い本が絶版となるのは残念な事ですね。でも図書館では読めますので、若い方達に読み継がれて行く事を願っています。

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